大阪パビリオン出展ブース 盛夏デザインへ設え替え

盛夏デザインへ設え替え
この度、壁面のタペストリー展示について、盛夏デザインへの設え替えを行いました。タペストリー展示の生地には、田勇機業株式会社がovoveilとシルクで交織した丹後ちりめんを用いて、友禅作家・グラフィックデザイナーの川邊祐之亮氏がデザイン制作を担当しました。地球上の生命が生まれた場所であり、また京都の文化の源泉でもある水をイメージした青色を基調として、らせん模様や銀箔の水しぶきが奥行き感をもたらし、水の豊かさと涼を感じるブース空間へと装いを新たにしました。また、京都のお香の老舗・松栄堂が、設え替えに合わせて新たに調合したオリジナルの香りによる空間演出もお楽しみいただけます。
友禅作家・グラフィックデザイナー 川邊祐之亮氏のコメント
京町家には、季節に応じて建具や敷物を替える「設え替え」という生活文化があります。町人たちは春には春の設え、夏には夏の設えへと調度を替え、室内を快適に保ちながら、素材や色彩の工夫を通じて四季の移ろいを五感で味わい楽しんできました。本展示でも、この「設え替え」の要素を取り入れることで、来場者の皆様に季節の美しさを感じていただき、何度も足を運びたくなるような趣のある空間を目指しました。
記録的な暑さの中で開催されている今回の万博では、水をモチーフにしたタペストリーを設えることで、少しでも涼を感じていただけるよう工夫を凝らしています。京都を囲む山々から湧き出す豊かな水は、川となり伏流水となり、古くから人々の生活を支えてきました。生活用水としてはもちろん、茶の湯や清酒、友禅染といった京都文化の発展にも大きな恩恵をもたらしてきたのです。また、天下の台所大阪と京の都を結ぶ淀川を利用した水運はかつて、人や物資、文化の交流を支える重要な役割を果たしてきました。
そして、水は生物のからだを構成する基本的な要素でもあります。人の体の約50%以上、タマゴの約75%が水でできています。今回私たちが展示する「オボヴェール」は、タマゴから生まれた新しい繊維素材です。人にも、タマゴにも、そして社会や地球にとっても欠かせない「水」の美しさを文様に込めて、皆様をお迎えしたいと考えています。