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気候変動への対応

TCFD提言に基づく情報開示

当社は健康維持の総合サポート企業として、「100歳時代に価値ある豊かさと価値ある健康を」というサステナビリティビジョンを掲げております。長寿社会を迎えつつある現代において、健康という側面から人々の持続的な幸せへ貢献していくことで、持続可能で豊かな社会の実現を目指しております。

このビジョン達成に向け、当社は生命活動と健康維持に重要な3つの要素である「免疫」「老化」「神経」の3つを開発コンセプトに据えた研究活動を行っております。そして、SDGs(持続可能な開発目標)については、事業の中核で追求していくものであるとの考えのもと、経営判断から現場での実践に至るまで社会課題の認識と取組みの実践を浸透させることで、自社の事業成長が持続可能な社会の実現に貢献できるよう努めていく方針です。

この度、TCFD※1の提言に基づき気候変動関連リスクおよび機会が当社の事業に及ぼす影響の分析を進めることにより、気候関連の適切な情報開示を行ってまいります。

TCFDとは?
Task Force on Climate-related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)
2015年に金融安定理事会(FSB)がG20の要請を受けて設置した、気候関連の情報開示及び金融機関の対応検討のための情報開示基準です。

ガバナンス

当社は、代表取締役社長をサステナビリティ推進の最高責任者としております。取締役及び部長以上の幹部社員が出席する幹部会において、自社の気候変動を含む中長期的なESG課題についてリスクと機会への対応方針や取組計画等を審議・策定するとともに、様々な活動のモニタリングを行っております。検討した内容等は、取締役会にて適宜審議・報告がなされ、取締役会による適切な監督体制を整えています。管理部経営企画課は各部門長を取りまとめる等の事務局を担い、自社の気候変動を含むESG課題に係る対応を取りまとめております。

今後、各部門での主体的な管理・推進体制を強化していくほか、社外への周知浸透を図るため、各KPIやその達成状況について当社ウェブサイトで公表を行う予定です。

戦略

当社は、サステナビリティビジョンである「100 歳時代に価値ある豊かさと価値ある健康を」の達成に向けて、また、パリ協定の目標である「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに1.5℃に抑える」ことへの達成と脱炭素社会の実現に向けて貢献していきます。

TCFD提言に基づき、気候変動に起因する当社事業への影響を考察するため、複数の気候関連シナリオを用いてシナリオ分析を実施しました。分析にあたり、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関するIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が公表するRCPシナリオを用いて、パリ協定の目標である「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに1.5℃に抑える」ことへの達成に向け、厳しい環境政策・法規制等の進展を想定した1.5℃シナリオと、気候変動に対し必要な施策や追加の対策が施されず、現状に近い状況で温室効果ガス(GHG)排出量が増え続け、異常気象の激甚化が顕著に表れる4℃シナリオの複数のシナリオを用いて分析を実施しました。

ファーマフーズにおける気候関連リスク・機会の概要

リスク・機会の種類 顕在化時期 財務影響度 対応方針
リスク 移行リスク 政策・規制 カーボンプライシングの導入 カーボンプライシング導入に伴い、自社排出に係る操業コストや輸送コストが増加する。 中期~長期 製造プロセスの見直し
再エネ導入の検討
プラスチック規制 使い捨てプラスチックへの規制により、包装・梱包材に使用するプラスチックについて、リサイクル可能な仕様への変更、包装材軽量化などのコストが発生する。 中期~長期 調達先の検討
再エネ政策の強化 排出規制強化(カーボンプライシング等)に伴う再エネへの切替や、再エネ需要の高まりにより、電力コストが増加する。 中期~長期 省エネ化の検討
省エネ政策の強化 省エネ政策強化により、高効率な設備機器導入のためのコストが増加する。 中期~長期 製造プロセスの見直し
省エネ化の検討
物理リスク 急性 異常気象の激甚化 自然災害の規模拡大や発生頻度が増加することで、物流の寸断や工場の操業停止が生じ、売上が減少する他、災害対策に係る費用が増加する。 短期~長期 BCP対策の検討
慢性 平均気温上昇による原材料生育影響 鶏の生育不順により原料である鶏卵の調達コストが増加する他、原材料植物の生育不良により収量が減少し、調達コストが増加する。 中期~長期 調達先の検討
機会 顧客・投資家評判の変化 事業を通じた環境配慮への積極的な取り組みや情報開示によって、顧客や購買客が気候変動への配慮性が高いと判断され、売上が増加する他、投資家に高評価を受けた場合、レピュテーションが向上し資金調達機会が増加する。 中期~長期 アップサイクル事業への取り組み
感染症の増加 感染症の増加に伴い、免疫を維持する製品の需要が増加する。 中期~長期 市場ニーズを取り入れた製品開発
顕在化時期の定義 「短期」:~3年, 中期」:4~10年, 「長期」:11年~30年
財務影響度の定義 「大」:事業の停止、もしくは大幅な縮小・拡大するほどの影響がある, 「中」:事業の一部に影響がある, 「小」:ほとんど影響を受けない
〈参照シナリオ〉
■1.5℃(2℃)シナリオ:Net Zero Emissions by 2050(IEA)、Sustainable Development Scenario(IEA)、RCP2.6(IPCC)
■4℃シナリオ:Stated Policies Scenario(IEA)、RCP8.5(IPCC)

分析の結果、当社グループの各事業内容における影響として、機能性素材、健康食品及び医薬品等の研究開発・製造の段階や、当社製品の食品・医薬品メーカー、流通事業者等への販売の段階において多くの化石燃料や電力を使用すること、製品の包装・梱包材にプラスチック等を使用していることから、カーボンプライシングに関する政策・規制の導入・強化や、再エネの市場普及に伴う電力価格の上昇、使い捨てプラスチックに関する規制を移行リスクとして特定しています。また、気候変動に伴う異常気象の激甚化や、平均気温上昇による原材料の生育不良に関して、当社のサプライチェーンに係る物流の寸断や当社グループ各拠点の被災による影響、原材料の調達に係るコストの上昇を与えることから物理リスクとして特定しています。

一方で、脱炭素社会が進展することで、顧客や消費者において環境配慮に関する当社の取り組みが評価されたり、気候変動を起因とした感染症拡大の予防として、免疫を維持する製品需要の増加を機会として特定しています。

未利用資源のアップサイクル

当社は、サステナビリティ基本方針の重点課題のひとつに、「未利用資源のアップサイクル」を掲げ、様々な未利用資源から高付加価値素材を開発し、食品、アグリ、化成品へのアップサイクルに取り組むビジネス展開を実践しております。

アップサイクル事業の取組みについて

リスク管理

当社は、気候変動関連リスクを含めた全社的なリスク管理を実施する組織として、管理部担当取締役を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会を設置しております。

気候変動関連リスクの抽出・評価に関しては、管理部経営企画課が中心となり、事業に係る気候変動関連リスクと機会を抽出し、発生可能性及び当社グループに与える財務影響度から評価付けを実施し、当社グループにとって重要なリスクと機会を特定し対応方針を検討しています。

特定した重要リスク及び対応方針は、管理部経営企画課よりリスク・コンプライアンス委員会に報告され、当社グループのリスク管理及びコンプライアンスの徹底と社会的信用の向上にかかる基本的意思決定のための方針を審議し、取締役会に適宜上程されます。取締役会では、当該報告に関して検討・審議をし、気候変動への対応を適切に指示・監督を行っております。

指標と目標

気候変動に対する当社グループのサステナビリティ推進の進捗を測る評価指標としては、温室効果ガス(GHG)排出量を選定しております。

当社グループは、サステナビリティビジョンである「100 歳時代に価値ある豊かさと価値ある健康を」の達成に向けて、また、パリ協定の目標である「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに1.5℃に抑える」ことへの達成と脱炭素社会の実現に向けて貢献していきます。

今後、サプライチェーン全体の排出量の把握をするべく、Scope3の排出量算定の実施を検討してまいります。 なお、当社拠点におけるScope1及びScope2のGHG排出量の実績は以下のとおりです。

2021年度 当社グループ Scope1,2排出量実績(単位:t-CO₂)

2021年度
Scope1,2排出量 合計 7,186
内訳 Scope1 排出量 3,446
Scope2 排出量 3,740
Scope1:自社によるGHGの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出
Scope3:Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する他社の排出)
算定範囲:本社及びグループ会社を対象